ブックメーカーは「胴元としてやりたい放題」といった感があり、なんと、日本の競馬も海外のブックメーカーで賭けることができる。
もちろん、これは、JRAから馬券を買うのではなくてブックメーカーのオッズでのベットになるのだから、「本来は合法の公営ギャンブルをわざわざ違法で遊ぶ」という倒錯した行為ではある。
だが、「合法ギャンブルをわざわざ違法で遊ぶ」くらいなのだから、そのリスクを背負ってでもブックメーカーで賭けるほうがJRAから馬券を買うよりもメリットがある、ということでもある。
公営ギャンブルである国内競馬からしたら自分たちに入るはずの利益がブックメーカーに奪われてしまうのだから堪ったもんではないだろうが、海外胴元を取り締まれない以上は国内競馬がブックメーカーの暴挙に手を出すことができないのも事実。
賭けるこちらとしては、正直なところ「違法性やJRAの事情はさておき、JRAとブックメーカー、どっちで賭けるのがお得なの?」というのが気になるところだろう。
そこで今回は、JRAを使って合法的に賭ける場合と、海外のブックメーカーで違法で賭ける場合を比較し、「わざわざ違法で遊ぶことにどんなメリットがあるか」を考察していけたらと思う。
ブックメーカーでは低い控除率で競馬に賭けられる
ブックメーカーとJRAを比較した場合に、ブックメーカーで賭けることのメリットとしては、やはり「控除率が低い」というのが真っ先に挙げられるだろう。
控除率というのは、「賭け金のうち、胴元側が利益として得られる金の割合」を示した数値であり、控除率の高低によって「賭ける側に払い戻しされる金額の比率」である「還元率」も変動する仕組みになっている。
「控除率が低い」ということは「あたりやすい(還元される率が高い、払い戻し率が高い)」ということを同時に意味していて、「より利益を得やすい」とされている。
ブックメーカーの控除率は「おおよそ2%~10%」と言われており、日本の公営ギャンブルである国内競馬の控除率は言わずとしれた「25%」であるため、この数値の差だけで判断するならば「ブックメーカーで競馬に賭けた方が払い戻しがより期待できる」ということがひとまずわかる。
もちろん、「払い戻しが期待できる」だけであり「確実に払い戻しされる」ではないため、JRAから馬券を買っている人のほうがブックメーカーで賭けている人より多く利益を得ている、ということも往々にしてよくある。「控除率」はあくまでも目安でしかない。
控除率の低さからブックメーカーを選ぶデメリット
控除率が低いからという理由でブックメーカーでの賭けを選ぶ場合のデメリットとしては「JRAの収益が減ってしまう」ということが挙げられる。
俺は冒頭で「JRAの事情はさておき」とは言ったものの、「JRAの収益が減る」というのは、JRAだけの問題ではなく、実は競馬ファンにとっても問題である、ということはしっかり言っておく必要があるだろう。
国内競馬というのはJRAの収益によって運営が成り立っているため、JRAの収益が減った場合、「競馬」というジャンル自体が先細りして衰退していく可能性がある、ということを考慮しなければならない。
言うなれば、「ブックメーカーで国内競馬を賭ける」というのは「オフィシャルからではなく、転売ヤーからチケットやグッズを買う」という行為に等しい。
「ブックメーカーのほうが利益があるから」という理由で、仮に現在の大半のユーザーがJRAからブックメーカーに移行してしまった場合、おそらく、国内競馬というものはジャンルごと廃れて滅びてしまうことになるだろう。
国内競馬の控除率は高いが、その分、その控除率で入った収益によって、国内競馬というジャンル自体が支えられているのである。
あなたがもし「国内競馬」というジャンルを少しでも愛しているならば、「自分の居場所や愛しているものを守りたいと思うかどうか」で、JRAかブックメーカーを選ぶことをまずはオススメしたい。
この倫理的な前提としての「デメリット」を踏まえたうえで、ここからは「日本の競馬が滅びても別にかまわない。少しでもお得ならば、俺は転売ヤーのほうを選ぶんだ」というタイプだけに向けて、ブックメーカーのメリットを考察していくことにしよう。
ブックメーカーでは複数のオッズを比較して賭けられる
ブックメーカーは、ブックメーカーごとに「オッズ」を持っているため「一つのレースで複数のオッズを比較しながら賭けられる」というメリットを持っている。
JRAから馬券を買う場合、JRAによって設定されたオッズという「一つの目線」しか持つことができない。
だが、ブックメーカーを利用すれば「複数の視点」からレースを見て予想ができるのだ。これは、ブックメーカーだけの楽しみ方だといえるだろう。
並行して複数のブックメーカーのオッズをチェックしながら「もっとも良い」と判断したオッズをその都度選択してベットしていくことで、ブックメーカーではより多くの利益を上げていくための戦略を練ることができる。
もちろん、「並行して賭ける対象」としてJRAのオッズも参照し、ブックメーカーよりJRAのほうがオッズがよいと判断されたなら、臨機応変にJRAから馬券を買うのも当然アリで、「あれかこれか」という二者択一で自分を縛りつける必要もない。
ブックメーカーで賭けをするなら「利用できるものはなんでも利用する」という「あれもこれも」の姿勢をとるほうが、より多くの利益を獲得することができるだろう。
ブックメーカーとJRAの「オッズ決定」のシステムの違い
ブックメーカーとJRAでは「オッズが決定するタイミング」が違うので、そのシステムの大きな違いの把握は必須となる。
オッズ決定のシステムは、ブックメーカーとJRAで、それぞれに「ブックメーカー方式」と「パリミュチュエル方式」という方式をとっている。
「ブックメーカー方式」というのは、「賭けた時点のオッズ」でオッズが確定され、その後にどれほどオッズが変動したとしても、「自分が賭けたオッズ」が変更されることがない。
一方、JRAの「パリミュチュエル方式」は「レース直前の締め切りの時点がオッズ」となるため、自分が賭けたあとにオッズが変動することもある、という特徴を持っている。
国内競馬をJRAから買ったことがあるなら誰でも経験があると思うが、早めに賭けた時点では良オッズだったのに、レース直前の締め切りでオッズが変動してしまい「勝った」のに当初想定していたよりも利益が少なくなってしまった、ということが起こりうる。
もちろん、逆にオッズがよくなって利益があがるということも起こりうるのが、「パリミュチュエル方式」の魅力でもある。
さて、ブックメーカーで国内競馬に賭ける場合は、この「ブックメーカー方式」の特徴を理解して「ここぞ!」というタイミングでオッズを確定させるのが「戦略」となる。
「複数のブックメーカーをチェックしてベストのオッズに賭ける」という賭け方は、「ブックメーカー方式」だからこそできる応用法としての賭け方となっている。
ブックメーカーとJRAは投票法にも違いがある
競馬といえば、馬連、三連複、ワイドなど「投票法」の選択肢が豊富なのが特徴だが、ブックメーカーで競馬に賭ける場合は、基本的には「単勝買い」という選択肢に限られているという特徴があることは注意したい。
「単勝買いが基本である」というのは、「競馬をどのように楽しみたいか」によっては、ブックメーカーで競馬に賭ける際の最大のデメリットになる人もいる特徴になるだろう。
「どの馬券を買うか」ということに競馬の醍醐味、予想の楽しさを感じているタイプの競馬ファンは、おそらくはブックメーカーでの競馬予想には少しばかり物足りなさを感じてしまうのではないかと思われる。
ブックメーカーは「単勝買い」が基本であるが、タイミング次第では何倍ものオッズに賭けることができるのが「賭け方法の物足りなさ」を補う要素である。
はじめから「このレースは単勝で買う」と決めているレースだけをブックメーカーで賭ける、というやり方でブックメーカーを活用するのも一つの戦略かもしれない。
ブックメーカーのキャッシュアウト機能を活用する
ブックメーカーで国内競馬に賭ける場合は「キャッシュアウト機能」を活用する、という選択肢もある。
キャッシュアウト機能というのは「オッズのキャンセル機能」のことで「このレース、負けそうだな」と判断したタイミングで、「キャッシュアウトの締め切り」が来ていなければ、レースの途中でオッズを取り消し、賭け金の一部が回収できる、という機能のことだ。
このキャッシュアウト機能は、JRAで馬券を買う際には絶対にできないことで、ブックメーカーで国内競馬に賭けるにあたっての隠れメリットである。
もちろん、すべてのブックメーカーやレースでキャッシュアウト機能が使えるわけではないのでその点は注意したいが、「損切り」や「利益確定」のためにキャッシュアウト機能を活用すれば、軍資金の減少を効率的におさえることができるだろう。
ブックメーカーで国内競馬に賭ける場合のまとめ
- ブックメーカーのほうが還元率が良い
- 複数のオッズを参照して賭けられる
- 賭けた時点でオッズが確定する
- 基本的には単勝買いしかできない
ブックメーカーで国内競馬に賭ける場合の、JRAと比較して見えてくる「違い」のまとめは以上となる。
ブックメーカーを利用し、「合法の公営ギャンブルをわざわざ違法で遊ぶこと」には、上記したように、様々なメリットがある。
JRAの馬券との組み合わせでブックメーカーを活用すれば、それぞれのデメリットを補いあうことも可能だろう。
もちろん、今回は「利益」などを主軸にしたメリットの話であるため、国内競馬を本当に楽しみたいのならば「競馬場に足を運んで正規の馬券を握りしめながらリアルタイムでレースを鑑賞する」ということは、やっぱり外せないだろう。
ブックメーカーで国内競馬に賭けるのはあくまで違法だ、ということは絶対に忘れないようにしよう。
ブックメーカーで賭けるのはオススメではあるのだが、国内競馬の存続を願うのであれば、たまにでもいいのでJRAで馬券を買うというのも、「競馬というジャンルに対する感謝」のためにも必要ではないだろうか。